骨ごとすり身にした黒い練り物、自然薯のとろろ汁、駿河湾の桜えび、夏の漁師めし——。静岡の郷土料理は、海・山・川の恵みと、人々の暮らしの知恵が詰まった味ばかり。この記事では、静岡を旅したらぜひ味わいたい郷土料理を、地元目線でまとめました。(提供状況や旬は変わるので、お店を訪ねる前に最新情報をご確認ください。)
黒はんぺん|静岡の食卓に欠かせない練り物
サバやイワシなどの青魚を骨ごとすり身にしてつくる、灰色でD字型の練り物。白いはんぺんとはまったくの別物です。色が黒っぽいのは墨ではなく青魚の血合いによるもの。そのまま、フライ、おでんの具と、静岡の食卓に欠かせない存在です。焼津をはじめ県内各地でつくられています。
とろろ汁|丸子(まりこ)宿の名物
すりおろした自然薯を、だし汁と味噌で割って麦飯にかける一品。東海道の宿場町丸子(まりこ)宿の名物として知られ、歌川広重の浮世絵にも描かれました。創業は慶長元年(1596年)と伝わる老舗「丁子屋」が有名。ねばりと滋味あふれる味は、まさに旅の活力になります。
桜えびのかき揚げ・桜えび丼|駿河湾の宝石
桜えびが水揚げされるのは、日本では駿河湾だけ。由比・蒲原がその本場です。生の桜えびをふんわり揚げたかき揚げや、ご飯にのせた桜えび丼は、駿河湾ならではのごちそう。ただし漁は資源保護のため年2回(春・秋)に限られるため、生の桜えびが味わえる時期は決まっています。
生しらす|用宗(もちむね)の朝獲れ
カタクチイワシなどの稚魚を生でいただく生しらす。静岡市の用宗(もちむね)漁港が代表的な産地で、朝獲れのぷりぷりした食感は鮮度が命。こちらも漁の時期が決まっており、禁漁期もあるため、生しらす目当てなら旬を確認して訪ねましょう。
静岡おでん|黒いだしと串の文化
牛すじでとった黒いだしに、串に刺した具を煮込み、だし粉(いわしの削り粉)と青のりをかけて食べる静岡市民のソウルフード。駄菓子屋でも売られる、暮らしに根ざした一品です。青葉横丁・青葉おでん街の名店で味わうのが定番です。

がわ|御前崎のカツオの冷や汁
カツオ漁がさかんな御前崎に伝わる、夏の漁師めし。刻んだ生のカツオに、きゅうり・玉ねぎ・梅干し・薬味を合わせ、味噌を溶いた氷水で仕立てる冷たい味噌汁です。暑い船上でもさっと食べられるよう生まれた一杯で、農林水産省「うちの郷土料理」にも静岡県・御前崎の料理として登録されています。
潮かつお|西伊豆・田子に伝わる「正月魚」
西伊豆町田子(たご)に伝わる、カツオを丸ごと塩漬けにして干した保存食。「日本最古の保存食」のひとつとも言われ、かつては朝廷へ献上されたほど。正月には藁を巻いて「正月魚(しょうがつお)」として神棚に飾る縁起物でもあり、いまは田子のわずかな店が伝統を守っています。
安倍川もち|静岡のおもてなし菓子
つきたての餅に、きな粉と砂糖、または餡をまぶした和菓子。安倍川のたもとの茶屋名物として親しまれ、徳川家康ゆかりの命名譚(諸説あり)も伝わります。静岡みやげの定番で、お茶うけにもぴったりです。
よくある質問(FAQ)
Q. 黒はんぺんが黒いのはなぜですか?
A. サバやイワシなどの青魚を骨ごとすり身にしているためで、墨を使っているわけではありません。色が黒っぽいのは青魚の血合いによるものです。
Q. 桜えびや生しらすはいつでも食べられますか?
A. どちらも漁の時期が決まっています。桜えびの漁は春と秋の年2回、生しらすにも禁漁期があるため、生で味わいたい場合は旬を確認してお出かけください。
Q. 「がわ」はどこの料理ですか?
A. カツオ漁がさかんな御前崎に伝わる夏の漁師めしで、生のカツオを使った冷たい味噌汁です。農林水産省の郷土料理にも静岡県・御前崎の料理として登録されています。
Q. お土産におすすめの郷土の味は?
A. 安倍川もちや黒はんぺん、桜えびの加工品、潮かつおなどがお土産に人気です。日持ちや保存方法は商品によって異なるので、購入時にご確認ください。
まとめ
黒はんぺん、とろろ汁、桜えび、生しらす、静岡おでん、御前崎のがわ、西伊豆の潮かつお、安倍川もち——静岡の郷土料理は、海と山の恵み、そして暮らしの知恵が生んだ味の宝庫です。旬や提供状況は変わるので、最新情報を確認しながら、土地の味を巡る旅を楽しんでください。
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画像出典:桜えび丼 = Miyuki Meinaka(CC BY-SA 4.0)
静岡おでん = 広報課(CC BY 4.0)(Wikimedia Commons)


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