「土用の丑の日にはうなぎを食べる」――この夏の風物詩を支えてきたのが、静岡県西部に広がる浜名湖うなぎです。実は浜名湖は、日本のうなぎ養殖が本格的に始まった「養殖発祥の地」。明治の起業家が浜名湖のほとりに最初の養鰻池を築いてから120年以上、ここで育ったうなぎは全国のうなぎ好きを唸らせてきました。
この記事では、2026年の土用の丑の日の正確な日付から、浜名湖うなぎの歴史と特徴、浜松・浜名湖周辺で本物の味が楽しめる実在の名店6選、自宅で味わえる通販・お取り寄せ、関東風と関西風の違いといった豆知識まで、土用の丑の日を120%楽しむための情報をまるごとお届けします。
本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。土用の丑の日の日付は毎年変わり、各店舗の営業時間・定休日・価格・予約可否は変更される場合があります。お出かけ・ご注文の前に、必ず各店舗・各通販サイトの公式情報で最新の内容をご確認ください。
土用の丑の日とは?2026年はいつ
「土用(どよう)」とは、暦の上で立春・立夏・立秋・立冬の直前、それぞれ約18日間ずつの期間を指します。つまり土用は年に4回あるのですが、一般に「土用の丑の日」として親しまれているのは夏の土用のこと。猛暑で食欲が落ちやすいこの時期に、栄養豊富なうなぎを食べて夏バテを乗り切ろう、という習わしです。
「丑(うし)の日」とは、十二支を日付に当てはめたときの「丑」にあたる日のこと。十二支は12日周期で巡るため、約18日間の土用の期間中に「丑の日」が1回、年によっては2回巡ってきます。2回ある場合は、最初を一の丑、2回目を二の丑と呼びます。
2026年夏の土用の丑の日は7月26日(日)
2026年の夏の土用の丑の日は、7月26日(日)の一の丑のみです。2026年は二の丑がなく、丑の日が1回だけという、やや珍しい年にあたります。夏の土用の期間そのものは、おおむね7月20日(月)頃から8月6日(木)頃まで。「土用の丑の日当日に行きたいけれど名店は予約が取りにくい……」という方は、この土用の期間中に少し日をずらして訪れるのも賢い選択です。
なお、土用の丑の日の日付は毎年変動します。本記事は年次更新型のため、毎年シーズン前に最新の日付へ更新していきます。来年以降の日付は改めて本記事でご確認ください。
「一の丑」と「二の丑」の仕組み
「同じ年なのに、土用の丑の日が2回ある年とない年があるのはなぜ?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。これは、丑の日が12日ごとに巡ってくるのに対し、夏の土用の期間が約18日間あることに理由があります。
18日間の中に12日周期の丑の日が入るタイミング次第で、丑の日が1回だけの年と、2回巡ってくる年が生まれます。2回ある場合、最初の丑の日を「一の丑」、2回目を「二の丑」と呼ぶわけです。2026年は一の丑(7月26日)のみで二の丑がない、ややレアな年。逆に二の丑がある年は、うなぎを2回楽しむチャンスが増えるとも言えます。
うなぎ以外の「う」のつく食べ物
土用の丑の日には、うなぎ以外にも「う」のつく食べ物を食べると夏負けしないという言い伝えがあります。代表的なのが梅干し・瓜(うり)・うどんなど。いずれも食欲が落ちる夏に、さっぱりと食べやすく消化にもやさしい食材です。うなぎが手に入らないときや、暑さで食が進まないときは、こうした「う」のつく食べ物で験を担ぐのも、昔ながらの夏の知恵です。
浜名湖うなぎの歴史と特徴
浜松・浜名湖が「うなぎの街」と呼ばれるのには、はっきりとした理由があります。それは、ここが日本のうなぎ養殖発祥の地のひとつだからです。
養殖発祥の地――服部倉治郎と明治33年の養鰻池
日本でうなぎの養殖が初めて試みられたのは1879年(明治12年)、実業家・服部倉治郎(はっとり くらじろう/1853〜1920年)が東京・深川に養殖池を作ったことに始まるとされます。川魚商を営み、うなぎや金魚などの生態に明るかった倉治郎は、その後さらに適地を求めて各地を調べました。
そして商用で関西へ向かう汽車の車窓から浜名湖を眺めた倉治郎は、「ここはうなぎの養殖に最適だ」と直感。1900年(明治33年)、現在の浜松市西区舞阪町の吹上付近に大規模な養鰻池を造成しました。温暖で晴天率が高く、淡水と海水が混じり合う汽水湖・浜名湖の環境は、うなぎの養殖にうってつけだったのです。
明治の末には養鰻技術が確立し、その技術は浜名湖周辺から愛知の三河地方、岐阜、三重、さらには鹿児島へと広がっていきました。今日、日本各地でうなぎの養殖が行われている源流は、まさにこの浜名湖にあるといっても過言ではありません。
浜名湖うなぎがおいしいといわれる理由
浜名湖うなぎのおいしさは、その恵まれた自然環境に支えられています。
- 温暖な気候と高い晴天率:年間を通じて暖かく日照に恵まれた遠州地方の気候は、うなぎがよく育つ条件を満たしています。
- 豊かな水:天竜川水系や浜名湖周辺の良質な水が、うなぎの飼育を支えます。
- 汽水湖という立地:淡水と海水が混じり合う浜名湖の環境は、古くからうなぎの稚魚(シラスウナギ)が育つ場所としても知られてきました。
- 長年蓄積された養鰻技術:120年以上にわたって受け継がれてきた生産者の技術とこだわりが、身の締まったうま味の濃いうなぎを生み出します。
こうした背景から、浜名湖うなぎは身がふっくらと柔らかく、脂のうま味がしっかり乗っているのが特徴。地元では今も日常的に親しまれ、観光客にとっては「浜松に来たら必ず食べたい」名物となっています。
浜松はなぜ「うなぎパイ」まで生まれた街なのか
浜松といえば、お土産の定番「うなぎパイ」を思い浮かべる方も多いでしょう。これも、浜名湖うなぎが地域に深く根づいた食文化であることの証です。明治期に始まった養鰻業は、戦後の高度経済成長期に最盛期を迎え、浜松駅周辺をはじめ市内のいたるところにうなぎ専門店が並ぶようになりました。うなぎを軸にした菓子や加工品が生まれ、観光資源として発展していったのも、こうした分厚い歴史の蓄積があってこそ。浜松は「うなぎとともに歩んできた街」なのです。
舞阪・新居エリア――発祥の地をめぐる
養殖発祥の中心地となった舞阪町(まいさかちょう)や、その対岸にあたる新居町(あらいちょう)の周辺は、今も養鰻池が点在し、浜名湖うなぎのルーツを感じられるエリアです。浜名湖を周遊するドライブやサイクリングのコースとしても人気があり、湖畔の景色を楽しみながら発祥の地の空気に触れることができます。うなぎを味わうだけでなく、その背景にある土地の物語まで知ると、一尾の味わいがいっそう深く感じられるはずです。

浜松・浜名湖のうなぎ名店6選
ここからは、浜松・浜名湖周辺で本物の浜名湖うなぎが味わえる、実在の名店6軒をご紹介します。明治創業の老舗から漁協直営店、観光地の名店まで、シーン別に選べるようまとめました。
※営業時間・定休日・価格は変更される場合があります。お出かけ前に各店公式情報で最新の状況をご確認ください。とくに土用の丑の日前後は混雑必至のため、予約可否の確認を強くおすすめします。
1. うなぎ藤田 浜松駅前店(明治25年創業の老舗)
- 所在地:静岡県浜松市中央区砂山町322-7 ホテルソリッソ浜松 2F
- 特徴:明治25年(1892年)創業の老舗。浜松駅から徒歩圏内でアクセス抜群、コース料理も充実しており、観光・接待どちらにも対応できる一軒です。
- 予算の目安:5,500円〜6,000円程度
- 電話:053-452-3232
2. 浜名湖うなぎ丸浜(浜名湖養魚漁協直営)
- 所在地:静岡県浜松市中央区砂山町322-4(浜松駅から徒歩約1分)
- 特徴:浜名湖養魚漁業協同組合の直営店。生産者やうなぎの流通ルートをすべて管理する漁協直営ならではの鮮度と価格が魅力で、駅徒歩1分という利便性も抜群です。年中無休で、観光の合間に立ち寄りやすいのも嬉しいポイント。
- 予算の目安:うな重 竹3,000円〜、特上4,600円ほど(平均3,000円前後)
- 電話:053-454-2032
3. 中川屋(明治10年創業、145年超の老舗)
- 所在地:静岡県浜松市中央区中野町861-2
- 特徴:明治10年(1877年)創業という、浜松うなぎ料理を代表する超老舗。145年以上の歴史を誇るうなぎ専門店で、長年磨かれた職人の技が光ります。
- 予算の目安:うなぎ専門店の標準的な価格帯(来店前に公式でご確認を)
- 電話:053-421-0007
4. うなぎ料理 あつみ(明治40年創業、浜名湖産活うなぎ)
- 所在地:静岡県浜松市中央区千歳町70
- 特徴:明治40年(1907年)創業の老舗で、明治の頃からうなぎ料理ひとすじ。浜名湖産にこだわった新鮮な活うなぎを焼き上げる、地元でも評価の高い名店です。
- 定休日:火曜・水曜
- 電話:053-455-1460
5. うなぎ専門の店 志ぶき(舘山寺温泉・創業約70年)
- 所在地:静岡県浜松市中央区舘山寺町(浜名湖かんざんじ温泉エリア)
- 特徴:1956年創業、約70年の歴史をもつ老舗。浜松屈指の観光地・舘山寺温泉の門前通りにあり、温泉観光や浜名湖周遊とあわせて立ち寄るのにぴったり。上質な味を気軽に楽しめると評判です。
- 営業時間(目安):平日11:00〜15:00/18:00〜20:30、土日祝11:00〜15:00/17:00〜20:00
- 電話:053-487-0153
6. うなぎのかんたろう(関西風炭焼き専門)
- 所在地:静岡県浜松市中央区蜆塚2丁目2-2
- 特徴:1977年創業、関西風の炭焼うなぎ専門店。国産鰻(浜名湖産・三河産)を使用し、蒸さずに直火で香ばしく焼き上げる関西風の味わいが楽しめます。「関東風だけでなく関西風も食べ比べたい」という方におすすめ。
- 電話:053-455-8823
このほかにも浜松・浜名湖周辺には数えきれないほどのうなぎ店があります。さらに多くの名店をチェックしたい方は、当サイトの浜名湖うなぎ名店まとめ記事もあわせてご覧ください。
通販・お取り寄せで楽しむ浜名湖うなぎ
「土用の丑の日は自宅でゆっくり食べたい」「離れて暮らす家族や大切な人へギフトとして贈りたい」――そんなときに頼りになるのが、浜名湖うなぎの通販・お取り寄せです。
浜名湖周辺の養鰻業者や専門店の多くが、真空パックの蒲焼きや白焼き、うなぎ茶漬けセット、化粧箱入りのギフト商品などをオンラインで販売しています。冷凍・冷蔵で届くため、温めるだけで名店の味を自宅で再現できるのが魅力。父の日や夏のお中元、敬老の日のギフトとしても定番の人気を誇ります。
お取り寄せうなぎを選ぶときのポイント
- 産地表示を確認する:「浜名湖産」「国産」など、産地がはっきり明記された商品を選ぶと安心です。
- 用途で選ぶ:自宅用ならコスパ重視の蒲焼き複数尾セット、贈答用なら化粧箱・のし対応のギフトセットがおすすめ。
- 注文時期は早めに:土用の丑の日(2026年は7月26日)前は注文が殺到し、配送が遅れたり売り切れたりすることも。7月初旬までの早めの注文が安心です。
- レビューと配送方法をチェック:冷凍か冷蔵か、温め方の説明があるか、口コミ評価はどうか、を確認しておくと失敗が減ります。
ギフト選びの参考に、静岡の贈り物・ギフト特集もぜひチェックしてみてください。季節の贈り物選びのヒントになるはずです。

うなぎの豆知識――関東風と関西風の違い
うなぎの蒲焼きには、大きく分けて関東風と関西風の2つの流派があります。そして両者の「境界線」が、ちょうど浜名湖あたりにあるといわれているのをご存じでしょうか。
| 項目 | 関東風 | 関西風 |
|---|---|---|
| 開き方 | 背開き | 腹開き |
| 調理工程 | 素焼き後に蒸してから焼く | 蒸さずに直火で焼き上げる |
| 食感 | ふっくら柔らかい | 香ばしくパリッと |
| 使う串 | 竹串 | 金串 |
開き方の由来がまた面白いところ。武士の多かった江戸(関東)では、腹開きが「切腹」を連想させて縁起が悪いとされ、背開きが主流になったといわれます。一方、商人文化が栄えた関西では「腹を割って話す」が良しとされ、腹開きが定着したと伝えられています。
調理法の違いも大きな特徴です。関東風は白焼きにしたあと一度蒸すことで、身が箸で切れるほどふんわり柔らかく仕上がります。対して関西風は蒸さずに直火で焼くため、皮はパリッと香ばしく、うなぎ本来の味わいが際立ちます。
そして浜松・浜名湖は、ちょうどこの東西の境界線上に位置するため、関東風と関西風の両方が楽しめる稀有なエリア。食べ比べができるのも、うなぎの街・浜松ならではの醍醐味です。お店によって流派が異なるので、訪れる前にどちらの調理法か調べておくと、より深くうなぎを味わえます。
「うな丼」「うな重」「ひつまぶし」の違い
うなぎ料理には、見た目の似たメニューがいくつかあります。せっかくの名店訪問、注文前に違いを知っておくと選びやすくなります。
- うな丼:丼にごはんとうなぎの蒲焼きをのせたもの。気軽に楽しめるスタンダードな一杯です。
- うな重:重箱に盛りつけたもの。一般にうな丼より上等な扱いで、量や格式が上がることが多いです。
- ひつまぶし:細かく刻んだうなぎをおひつのごはんに混ぜ、「そのまま」「薬味を添えて」「だし茶漬けで」と3通りの食べ方で楽しむスタイル。名古屋発祥として知られますが、浜松周辺でも提供する店があります。
うなぎの「肝吸い」「白焼き」も味わいたい
うなぎ専門店に行ったら、蒲焼きだけでなくサイドメニューにも注目を。肝吸い(きもすい)は、うなぎの肝を使った吸い物で、ほろ苦さとうま味が蒲焼きのこってり感を引き締めてくれます。また白焼きは、タレを使わず素材の味そのものを楽しむ一品。わさび醤油や塩でいただくと、浜名湖うなぎ本来の繊細な味わいが際立ちます。タレの蒲焼きとはまた違う魅力があるので、複数人で訪れるなら両方頼んでシェアするのもおすすめです。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年の土用の丑の日はいつですか?
A. 2026年の夏の土用の丑の日は7月26日(日)です。2026年は二の丑がなく、丑の日は1回のみとなります。土用の期間自体はおおむね7月20日頃〜8月6日頃です。
Q. なぜ土用の丑の日にうなぎを食べるのですか?
A. 暑さで食欲が落ちる夏に、栄養豊富なうなぎを食べて夏バテを防ぐという習わしが由来とされています。江戸時代に広まったとされる風習で、現在まで夏の風物詩として親しまれています。
Q. 浜名湖はなぜ「うなぎの街」と呼ばれるのですか?
A. 1900年(明治33年)に服部倉治郎が現在の浜松市舞阪町付近に大規模な養鰻池を造成したことに始まり、ここが日本のうなぎ養殖発祥の地のひとつとされているためです。温暖な気候・豊かな水・汽水湖という好条件が養殖に適しています。
Q. 名店は予約したほうがいいですか?
A. 土用の丑の日前後は大変混雑します。予約可能なお店は事前予約を強くおすすめします。予約不可の人気店は、開店直後の早い時間帯を狙うと比較的スムーズです。
Q. 浜松のうなぎは関東風と関西風どちらですか?
A. 浜松は関東風と関西風の境界線上にあり、両方の調理法のお店が存在します。食べ比べができるのが浜松の魅力です。お店ごとに流派が異なるので、事前に確認するとよいでしょう。
まとめ
2026年の夏の土用の丑の日は7月26日(日)。二の丑のない年なので、この一日、あるいは7月20日頃から始まる土用の期間中に、ぜひ本場・浜名湖のうなぎを味わってみてください。
浜名湖は、明治33年に服部倉治郎が養鰻池を築いて以来120年以上の歴史をもつうなぎ養殖発祥の地。温暖な気候と豊かな水に育まれたうなぎは、身がふっくらとしてうま味が濃く、関東風・関西風の両方が楽しめるのも浜松ならではの魅力です。
お店でじっくり味わうもよし、通販・お取り寄せで自宅やギフトとして楽しむもよし。今年の土用の丑の日は、養殖発祥の地が誇る本物の浜名湖うなぎで、夏を元気に乗り切りましょう。
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