静岡・伊豆のわさび完全ガイド|わさび丼・畳石式わさび田・発祥の地 有東木をめぐる保存版

清流で育つわさび ランチ・グルメ

静岡県は、わさびの産出額で全国シェアの約6割を占める“わさび日本一”の県です(令和6年・農林水産省統計)。しかも、わさび栽培そのものが静岡で生まれたことをご存じでしょうか。この記事では、わさび発祥の地・有東木(うとうぎ)から、伊豆・天城のわさび田、名物「わさび丼」が味わえるスポット、そして本わさびを何倍も楽しむ豆知識まで、静岡のわさびを地元目線でまるごとご案内します。

静岡が“わさび日本一”である理由

静岡県のわさび産出額は約34億円で全国シェアは約63%(令和6年・農林水産省)。水わさびの栽培面積・根茎生産量でも日本一を誇ります。その歴史は古く、今から約400年前の慶長年間、安倍川上流・標高約700mの有東木(静岡市葵区)で、村人が自生のわさびを湧水のそばに移し植えたのが、世界のわさび栽培の始まりとされています。

駿府城で晩年を過ごした徳川家康がこのわさびを大変気に入り、有東木からの持ち出しを禁じた——という言い伝えも残ります(あくまで言い伝えとして語り継がれているものです)。また、明治期に中伊豆で確立された「畳石式(たたみいししき)」というわさび田の構造は、大小の石を積み上げて水をろ過しながら一定の水温に保つ独自の技術で、2018年には「静岡水わさびの伝統栽培」が国連food機関(FAO)の世界農業遺産に認定されています。

伊豆のわさびの花のクローズアップ

わさびを味わう・体験できるスポット

静岡でわさびを楽しむなら、伊豆・天城エリアと、発祥の地・有東木が中心です。価格・営業時間・定休日・体験の予約条件は変わりやすいので、お出かけ前に必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。

うつろぎ(静岡市葵区・有東木)

わさび栽培発祥の地・有東木にある食事処。地元の女性たちが運営し、わさびの葉の天ぷらや茎の和え物が並ぶ「さびめし」など、生わさびづくしの郷土料理が味わえます。わさび漬けづくりやそば打ち体験(要事前予約)も。新東名・新静岡ICから車で約40分の山あいにあります。

道の駅「天城越え」内 天城わさびの里(伊豆市湯ヶ島)

天城峠のふもと、国道414号沿いの道の駅。看板メニューは生わさびをのせて味わう「わさびソフトクリーム」。わさびの収穫体験やわさび漬けづくり体験(いずれも要予約)もでき、家族連れに人気です。

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浄蓮の滝観光センター(伊豆市)

日本の滝百選「浄蓮の滝」のすぐそば。レストランでは伊豆天城産の生わさびを削っていただく「天城わさび丼」が看板です。展望台付近では畳石式のわさび田も見られ、滝とわさび田をセットで楽しめる、伊豆ならではの場所です。

七滝茶屋(河津町・河津七滝)

河津七滝の大滝入口付近にある茶屋。わさび丼やわさびそばのほか、冬から春は完熟いちごをたっぷり使ったデザートも名物。人気テレビ番組で取り上げられたこともあり、河津七滝めぐりの休憩スポットとして親しまれています。

伊豆わさびミュージアム(函南町)

わさび漬けの手作り体験や、屋内で畳石式わさび田を見学できる施設として知られます。所在地や営業時間の表記が情報源によって異なるため、お出かけ前に運営元の公式サイトで所在地・営業時間・体験の有無を必ずご確認ください。

筏場(いかだば)のわさび田(伊豆市)※景観スポット

飲食・体験施設ではありませんが、石積みの畳石式わさび田が山あいに広がる、伊豆屈指の絶景。わさび田は生態系保護のため立ち入りが制限されているので、見学は外から静かに楽しみましょう。

なお、わさび丼発祥として全国に知られた河津町の名店や、伊豆地蔵堂のわさび田見学施設など、休業・閉店しているお店もあります。「行ってみたら閉まっていた」とならないよう、訪問前の確認をおすすめします。中伊豆エリアの拠点としては修善寺温泉もあわせて巡ると便利です。

「わさび丼」って何? ちょっとした文化コラム

わさび丼は、もともとわさび農家がごはんに削り節とおろしたての本わさび、しょうゆをかけて食べた素朴な家庭料理でした。これを河津町のわさび農家が裏メニュー的に提供していたところ、人気テレビ番組「孤独のグルメ」(2013年放送のシリーズ)で主人公が味わったことで一躍全国区に。以来、河津七滝のあたりは「わさび丼の聖地」とも呼ばれるようになりました。ツンと鼻に抜ける辛味と、削り節・しょうゆ・あつあつごはんのシンプルな組み合わせが、なぜか後を引きます。

知っておくと通な「わさび豆知識」

  • 本わさびと西洋わさびは別もの:私たちが「わさび」と呼ぶ本わさび(水わさび)はアブラナ科の日本原産で、鮮やかな黄緑色。一方、チューブわさびの多くに使われる西洋わさび(ホースラディッシュ)は白っぽく、大根のような香りです。
  • 辛味は「すりおろして初めて」生まれる:わさびの辛味成分は、すりおろして細胞が壊れることで発生します。だから食べる直前にすりおろすのが一番。時間が経つと辛味も香りも飛んでしまいます。
  • おろし方は「の」の字でゆっくり:目の細かいおろし板(料理屋では鮫皮おろし)に対してわさびを立て、「の」の字を描くようにゆっくり円を描くと、細胞が細かく壊れて辛味と香りが最大限に引き出されます。
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まとめ

わさびは、ただの薬味ではなく、静岡が世界に誇る食文化そのもの。発祥の地・有東木の郷土料理から、天城のわさび丼、買って帰れるわさび漬けまで、楽しみ方はさまざまです。本わさびの清々しい辛味と香りを、ぜひ現地で味わってみてください。

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画像出典:わさびの栽培・花 = Qwert1234(CC BY-SA 3.0)(Wikimedia Commons)

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