静岡県富士宮市は、富士山の麓に広がる「水とやきそばの街」。市内にはおよそ140軒もの富士宮やきそば提供店がひしめき、地元の人にとっては日常食、観光客にとっては「わざわざ食べに行く」目的地グルメになっています。極太のコシある麺、肉かす、そして仕上げにふりかけるイワシ(サバ)のだし粉――この三つがそろってはじめて「富士宮やきそば」。一度食べると忘れられない、唯一無二のB級グルメです。
この記事では、富士宮やきそばの「定義」から、富士山本宮浅間大社のすぐそばで食べ歩きができる名スポット、そして地元で愛され続ける名店までを、各店の公式情報をもとにていねいにご紹介します。季節を問わず一年じゅう楽しめる、静岡の鉄板グルメ巡りへ出かけましょう。
※本記事の価格・営業時間・定休日は2026年5月時点で各店公式サイト・公式ガイド等で確認した情報です。最新情報や売り切れ・臨時休業については、来店前に各店公式でご確認ください。
そもそも「富士宮やきそば」とは? 3つの条件
富士宮やきそばは、ただ富士宮で売られている焼きそばのことではありません。地元のまちおこし団体「富士宮やきそば学会」が定義する、いくつかの特徴があります。一般的なソース焼きそばとはっきり違うのは、次の3点です。
- コシの強い専用の蒸し麺……学会が指定する製麺所(マルモ食品工業・曽我めん・叶屋・さのめん)の蒸し麺を使用。あらかじめ蒸して急速に冷やすため、独特の弾力とコシが生まれます。
- 肉かす(油かす)……ラードを搾り取ったあとの「肉かす」を具に使うのが定番。カリッとした食感と、香ばしいコクが加わります。
- イワシ(サバ)のだし粉……仕上げに削り粉をたっぷりふりかけるのが富士宮流。魚介の旨みと香りが立ち上がり、ソースの味に深みが出ます。
調理法も独特で、具を炒めたあと蒸し麺を入れ、少量の水を加えて炒め、水分が飛んだところでソースをからめます。この「水を打つ」工程が、もちもちとパリッとを両立させる秘密です。鉄板の上でジュウジュウと音を立てながら水分を飛ばし、ソースと麺をなじませていく――その香りと音こそ、富士宮やきそばの食欲をそそる演出のひとつ。お店によっては目の前の鉄板で焼いてくれるところもあり、できあがるまでの工程そのものがごちそうになります。
もう一つ覚えておきたいのが、富士宮の「水」のおいしさです。富士宮は富士山の伏流水が豊富に湧き出る土地で、古くから水の街として知られてきました。麺づくりにも、料理全体にも、この清らかな水が生きているといわれます。富士山の恵みが一皿の中に詰まっている――そう思いながら味わうと、富士宮やきそばがいっそう特別なものに感じられるはずです。
なお、味の決め手となる削り粉は「イワシ」だけでなく「サバ」の削り粉を使う店もあり、配合は店ごとにさまざま。麺の太さやソースの甘辛、肉かすの量と食感も一軒一軒で個性があります。つまり、同じ「富士宮やきそば」でも、お店をはしごすればまったく違う表情に出会えるということ。これが、街じゅうに約140軒もの店があってもそれぞれにファンがつく理由であり、食べ歩きが楽しい最大の魅力なのです。
B-1グランプリ「初代王者」にして連覇の街
富士宮やきそばの名を全国区にしたのが、ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」です。富士宮やきそば学会の公式情報によると、2006年2月に青森県八戸市で開催された第1回B-1グランプリで初代グランプリ(優勝)を獲得。さらに翌2007年の第2回大会でも頂点に立ち、見事に連覇を達成しました。
「B級グルメの王様」と呼ばれるゆえんはここにあります。市をあげてのまちおこしが実を結び、いまや富士宮は「やきそばの聖地」。観光で訪れたら、まずは一皿食べておきたいご当地の誇りです。

食べ歩きの拠点①|お宮横丁(富士山本宮浅間大社そば)
はじめての富士宮やきそば巡りなら、まず向かいたいのが「お宮横丁」。全国の浅間神社の総本宮・富士山本宮浅間大社のすぐそばにある複合型の観光施設で、富士宮やきそばのほか、甘味やジェラート、軽食、おみやげが一カ所で楽しめます。富士山の湧水で炊き上げた餡や、朝霧高原牛乳を使ったジェラートも名物です。
- 場所:静岡県富士宮市宮町4-23(富士山本宮浅間大社のそば)
- 営業時間:10:00〜17:00(短縮の場合あり)
- 定休日:不定休
浅間大社の参拝とセットで立ち寄れるため、観光客にも地元客にも大人気。横丁内の店舗ははしごもしやすく、まさに「食べ歩きの起点」にぴったりのスポットです。
名店ガイド|公式情報でチェックする富士宮やきそばの名店
富士宮やきそばアンテナショップ(お宮横丁内)
お宮横丁の中にある、その名のとおり「富士宮やきそばの顔」とも言える一軒。運営は株式会社プロシューマーで、定番の富士宮やきそばのほか、季節限定の変わり種メニューも展開しています。観光のスタート地点として、まずはここで王道の一皿を味わうのがおすすめです。
- 所在地:静岡県富士宮市宮町4-23(お宮横丁内)
- 電話:0544-22-5341
- メニュー例:富士宮やきそば(並)ほか/季節限定メニューあり
※価格・営業時間は媒体によって表記に差があるため、最新の価格・ラストオーダー時間は来店前に店頭または公式でご確認ください。
虹屋ミミ(富士宮市中央町)
「鉄人」の称号を持つ名店として知られる一軒。富士宮やきそばのコンテストで腕を認められた職人の味が楽しめます。やきそばのほかお好み焼きや、麺入りお好み焼き「しぐれ焼き」もあり、こぢんまりとした店内は地元客でにぎわう人気店です。冷めてもおいしいと評判で、お土産セットの販売もしています。
- 所在地:静岡県富士宮市中央町3-9
- 営業時間:11:00〜19:00
- 定休日:火曜
- 電話:0544-24-0791
さの食堂(富士宮市大宮町)
富士宮生まれの店主が腕をふるう、地元密着の食堂。歯ごたえのある肉かすと、コシのある麺で、伝統的な富士宮やきそばの味わいが楽しめます。やきそばだけでなく定食メニューも充実しているので、しっかり食事をしたいときにも頼れる一軒です。
- 所在地:静岡県富士宮市大宮町21-1
- 電話:0544-26-5869
- 営業時間・定休日:平日と土日祝で営業時間が異なり、定休日の情報も媒体により差があります。来店前に必ず店舗公式・店頭でご確認ください。
うるおいてい(富士宮市淀師)
行列が絶えないことで知られる人気店。富士宮やきそばの名店として地元でも全国でも名前が挙がる一軒で、こだわりのやきそばが味わえます。材料がなくなり次第、オーダーストップが早まる場合があるため、確実に食べたいなら早めの来店がおすすめです。
- 所在地:静岡県富士宮市淀師415-2
- 営業時間:平日11:00〜14:00/16:30〜18:30、土日祝10:30〜18:00
- 定休日:月曜、第3火曜
- 電話:0544-24-7155
富士宮やきそば巡りを楽しむコツ
- まずはお宮横丁から……浅間大社参拝とセットで、起点にすると効率的。横丁内ではしごもしやすい。
- 並は小さめ、はしご前提で……一皿が比較的軽めなので、2〜3軒の食べ比べがしやすいのも富士宮の魅力。
- 人気店は売り切れ注意……うるおいていなど行列店は、材料がなくなり次第終了の場合があるため早めの時間帯を狙う。
- 「だし粉」をしっかり味わう……卓上のだし粉を追いがけして、魚介の香りの変化を楽しむのが通の食べ方。
知っておくと楽しい|富士宮やきそば豆知識
なぜ富士宮で「焼きそば文化」が根づいたの?
富士宮にやきそばの文化が深く根づいた背景には、地元で長く愛されてきた製麺所の存在と、駄菓子屋や食堂で気軽にやきそばが売られてきた歴史があります。子どものおやつとして、家庭の味として、街の人々の生活に溶け込んできた一皿。やがてそれを「富士宮やきそば」という名前でまちおこしに生かそうという動きが起こり、2000年代に一気に全国的な知名度を獲得しました。日常食がご当地グルメへと昇華した、まさにB級グルメの成功例といえます。
「肉かす」って何でできているの?
富士宮やきそばの個性を語るうえで欠かせないのが「肉かす(油かす)」。これは豚の背脂などからラードを搾り取ったあとに残る部分で、カリッとした歯ごたえと、噛むほどににじむ旨みが特徴です。この肉かすが入ることで、麺やソースだけでは出せない深いコクと食感のアクセントが生まれます。富士宮やきそばを食べるときは、ぜひ麺と一緒に肉かすの食感も意識してみてください。
食べ歩きにうれしい「やきそば+甘味」のはしご
富士宮やきそば巡りの拠点・お宮横丁には、やきそばだけでなく富士山の湧水で炊いた餡を使った甘味や、朝霧高原牛乳のジェラートもそろっています。しょっぱいやきそばのあとに、ひんやり甘いジェラートでひと息――そんな「甘辛はしご」ができるのも、お宮横丁ならではの楽しみ方。浅間大社の参拝とあわせれば、半日たっぷり富士宮を満喫できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 富士宮やきそばは一年じゅう食べられますか?
A. はい。富士宮やきそばは季節を問わず一年じゅう楽しめるご当地グルメです。観光のついでにいつ訪れても味わえます。
Q. 何軒くらいはしごできますか?
A. 富士宮やきそばは一皿が比較的軽めなので、2〜3軒の食べ比べを楽しむ方も多いです。お宮横丁を起点にすると効率よく回れます。
Q. 人気店は予約できますか?
A. 店舗によって対応が異なります。行列ができる人気店では材料がなくなり次第終了となる場合もあるため、確実に食べたい場合は早めの時間帯を狙うか、各店の最新情報を事前に確認するのがおすすめです。
Q. 富士宮やきそばと一般的な焼きそばの違いは?
A. コシの強い専用の蒸し麺、肉かす、仕上げのイワシ(サバ)のだし粉――この3つが大きな違いです。もちもちとした麺と、魚介の香り、肉かすの食感が一体となった独特の味わいが楽しめます。
あわせて読みたい|静岡の名物グルメ
静岡には富士宮やきそば以外にも、一年じゅう楽しめるご当地グルメがたくさん。あわせてチェックしてみてください。
富士宮へのアクセスと拠点に便利な宿
富士宮市はJR身延線・富士宮駅が玄関口。富士山本宮浅間大社やお宮横丁は駅から徒歩圏内で、車でも東名・新東名からアクセスしやすい立地です。富士宮やきそば巡りに加えて、富士山周辺の観光や朝霧高原ドライブまで楽しむなら、富士・富士宮エリアや富士五湖周辺に宿を取るのがおすすめ。早朝の富士山と、できたての富士宮やきそば――富士山の麓ならではの一日を満喫できます。
※掲載情報は2026年5月時点で各店公式サイト・公式ガイド等をもとに確認したものです。価格・営業時間・定休日・メニューは変更される場合があります。来店前に各店公式で最新情報をご確認ください。


コメント