静岡の玉露・抹茶|最高級ラインを味わえる名店と歴史

ランチ・グルメ

低温の急須からとろりと注がれる、海苔のような覆い香。最初のひと口に、思わず「えっ、これがお茶?」と声が出る。

「静岡茶」と聞くと深蒸し煎茶を思い浮かべる方が多いはず。でも静岡には、もうひとつの顔があります。

日本三大玉露産地の「朝比奈玉露」、そして全国でも珍しい静岡産抹茶。数百グラム単位で1万円を超える最高級ラインを擁する、静岡茶の隠れた主役たちです。

本記事では、玉露と抹茶の基礎から、朝比奈玉露の歴史、静岡発の抹茶ブランド、自宅で玉露を淹れる手順、静岡市内で味わえる名店までを一気にご紹介します。

玉露とは|「覆い茶」が生み出す最高級の旨み

玉露は煎茶や抹茶と並ぶ日本茶の代表格でありながら、生産量はごくわずか。

茶葉の摘採前に20日ほど、茶園を寒冷紗や葦簀(よしず)で覆う「被覆栽培」を行います。

こうして旨み成分テアニンを蓄え、渋みのもとカテキンの生成を抑える特別な製法でつくられます。

覆いの下で育った新芽は、海苔に似た「覆い香(おおいか)」と呼ばれる独特の香りを帯び、口に含むととろりとした甘みが広がります。

1kgの新芽からできる玉露はわずか200g前後。しかも一番茶の最も柔らかい部分だけを摘み取るため、希少性と価格は煎茶の数倍に及びます。

玉露と同じく被覆栽培で育てた茶葉を、揉まずに乾燥させて石臼で挽いたものが抹茶。原料となる茶葉は「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれ、玉露とは兄弟のような関係にあります。

玉露の茶葉が並ぶ静岡の茶畑
玉露・抹茶(イメージ)

朝比奈玉露|静岡が誇る日本三大玉露産地

玉露の三大産地は、京都・宇治、福岡・八女、そして静岡・朝比奈。

京都と福岡は全国的に有名ですが、静岡県藤枝市岡部町朝比奈地区もまた、農林水産大臣賞を幾度も受賞してきた最高級玉露の産地です。

朝比奈川がもたらす理想の茶どころ

朝比奈地区は、清流・朝比奈川の両岸斜面に茶畑が広がる山間の町。

早朝には川面から霧が立ちのぼり、茶葉を柔らかな日差しから守る天然の覆いとなります。

寒暖差のある気候と霧、ミネラル豊富な土壌──玉露を育てる条件がすべてここに揃っています。

室町時代から続く茶の歴史

朝比奈での茶栽培は、室町時代にまで遡るといわれています。

長い歴史のなかで、生産者たちは被覆資材を工夫し、手摘みの技術を磨き、棚式の本玉露を守り続けてきました。

藤枝市は朝比奈玉露を市の宝として位置づけ、2024年には体験施設「玉露テラス朝比奈」を開設するなど、ブランド継承の取り組みを進めています。

手摘み本玉露の希少さ

朝比奈玉露のなかでも最高峰とされるのが、棚式被覆で育てた新芽を一芯二葉で手摘みする「手摘み本玉露」。

茶摘み期間はわずか2週間ほど。収量も限られるため、100g数千円から1万円を超える価格で取引されます。

香り、甘み、余韻のいずれもが煎茶とは一線を画す、まさに飲む芸術品です。

静岡の抹茶|1988年に始まった新しい挑戦

抹茶といえば京都・宇治。そう思っている方が多いはず。

実は静岡県の本格的な抹茶生産は意外と歴史が浅く、1988年に藤枝市岡部町で碾茶の生産がスタートしたのが本格化のきっかけでした。

その立役者が、創業1907年の老舗・丸七製茶です。

丸七製茶|静岡抹茶のパイオニア

丸七製茶は藤枝市に本社を置く製茶問屋。明治期に農家から直接茶葉を仕入れる仲買として創業しました。

煎茶需要が落ち込みはじめた1980年代後半、地元の農協に碾茶生産を提案し、静岡における抹茶製造の道を切り開きます。

現在は藤枝・島田・焼津に工場を構え、東京や英国にも拠点を持つ大手抹茶メーカーへと成長しました。

同社が手がける抹茶スイーツブランド「ななや」は、世界一濃いと評される7段階の抹茶ジェラートで全国的に有名。

静岡店・東京店・京都店を展開し、最も濃いNo.7は産地直送の抹茶を惜しみなく使ったほろ苦さで大人のファンを増やしています。

静岡抹茶ならではの個性

京都・宇治の抹茶が「まろやかさと深い甘み」を特徴とするのに対し、静岡抹茶は澄んだ緑とすっきりした香り、後味の軽やかさが持ち味。

茶筅で点てる薄茶はもちろん、菓子・ラテ・ジェラートとの相性が良く、近年は世界の食品メーカーからも引き合いが増えています。

🍵 朝比奈玉露を産地直送で買う|藤枝・岡部の老舗茶舗

▶ Googleマップで朝比奈玉露の名店を見る

自宅で淹れる玉露の手順|失敗しない4ステップ

「玉露は淹れるのが難しそう」と感じる方は多いはず。

実は、温度と時間さえ守れば、ご家庭でも驚くほど豊かな旨みを引き出せます。1人分の目安でご紹介します。

ステップ1|湯冷ましで50〜60℃まで冷ます

沸騰させたお湯を、まず湯呑み、次に湯冷ましの順に移し替えます。

器を移すごとに湯温は約10℃ずつ下がるため、2〜3回移すと自然に50〜60℃の低温になります。

玉露は温度が肝心。高温のお湯では渋みが立ち、旨みが消えてしまいます。

ステップ2|茶葉は2〜3g、お湯は約60ml

急須に茶葉を2〜3g(ティースプーン軽く1杯)入れ、湯冷ましした60mlのお湯を静かに注ぎます。

煎茶よりお湯の量が少ないのが特徴。旨みを凝縮させて少量を味わうのが玉露の作法です。

ステップ3|2分〜2分30秒、じっくり蒸らす

蓋をして2分〜2分30秒、急須を動かさずに静かに待ちます。

低温でゆっくり成分を引き出すため、煎茶の30秒〜1分に比べてかなり長め。この「待つ時間」こそ、玉露の旨みが整う大切な瞬間です。

ステップ4|最後の一滴まで注ぎ切る

湯呑みに少しずつ回し注ぎ、最後の一滴(ゴールデンドロップ)まで丁寧に注ぎます。

最後の一滴に最も濃い旨みが宿るため、ここを残すと味が薄まり、二煎目も渋くなります。

二煎目は70〜80℃のお湯を60ml、20秒ほどで。三煎目は熱湯で15〜20秒、お湯の量を120mlに増やして香りを楽しみます。

静岡で玉露・抹茶を味わえる店舗5選

「飲んでみたいけれど、いきなり買うのはハードルが高い」という方へ。

静岡市内を中心に、最高級ラインを気軽に味わえるお店をまとめました。

1. 日本茶きみくら 茶寮(静岡市葵区/ASTY静岡)

昭和8年創業、掛川市の製茶問屋「きみくら」が運営する茶寮。

季節のおすすめを含めた6種類のお茶から選べ、玉露と抹茶は追加料金で楽しめます。

駅近で気軽に立ち寄れるのに、所作まで丁寧に教えてくれる──お茶初心者の入り口にぴったりです。

📍 日本茶きみくら 茶寮(ASTY静岡内)
住所:静岡県静岡市葵区黒金町49-1 ASTY静岡西館
営業時間:店舗により異なる(公式サイト参照)
▶ 公式サイト


2. ななや 静岡店(静岡市葵区)

丸七製茶のスイーツブランド「ななや」の旗艦店。

7段階の濃さから選べる抹茶ジェラートが看板メニュー。最も濃いNo.7まで上り詰めると、もはやお茶を食べているような濃密さです。

抹茶チョコレートやドリンクメニューも揃い、静岡抹茶の幅広さを一度に体感できます。

📍 ななや 静岡店
住所:静岡県静岡市葵区呉服町2-5-12
営業時間:11:00〜19:00(公式サイトで最新情報をご確認ください)
▶ 公式サイト


3. 茶の蔵 かねも 清庵(静岡市葵区)

1872年(明治5年)創業の老舗茶舗が営む茶室。

有機・無農薬栽培の煎茶・抹茶・玉露を、無添加の和菓子とともに味わえます。

観光地化されていない静かな空間で、茶葉の個性をじっくり比べたいときに足を運びたい一軒です。

📍 茶の蔵 かねも 清庵
住所:静岡県静岡市葵区研屋町47
営業時間:店舗により異なる(公式サイト参照)
▶ Googleマップで見る


4. サングラム(静岡市葵区)

創業120年を超える丸松製茶がプロデュースするお茶専門店。

2025年3月にリニューアルオープンし、抹茶ラテやアレンジティーが気軽に楽しめるカフェスペースを併設しました。

伝統と現代的なカフェカルチャーが交わる、新しい静岡茶の窓口です。

📍 サングラム(SUN GRAM)
住所:静岡県静岡市葵区エリア(最新住所は公式サイト参照)
営業時間:店舗により異なる(公式サイト参照)
▶ Googleマップで見る


5. 玉露テラス朝比奈(藤枝市岡部町)

2024年にオープンした、朝比奈玉露を体験できる施設。

茶畑を眺めながら、地元の生産者が手がけた本玉露を専門家のレクチャー付きで味わえます。

静岡市内から車で約40分。本気で玉露を知りたい方には、ぜひ一度足を運んでほしい目的地です。

📍 玉露テラス朝比奈
住所:静岡県藤枝市岡部町新舟1493-1
営業時間:公式サイトで最新営業日をご確認ください
▶ 公式サイト


玉露と抹茶を選ぶときのワンポイント

贈答用やお取り寄せで玉露・抹茶を選ぶとき、見るべきポイントは3つ。

  • 産地:玉露なら朝比奈・宇治・八女、抹茶なら静岡(藤枝・岡部)か宇治
  • 等級:本玉露・手摘み・棚下といった表記の有無、抹茶は薄茶用・濃茶用の区別
  • 製造年月:未開封でも半年で風味が落ちはじめる

製造年月は意外と見落とされがちですが、最高級ラインほど鮮度が命。

少量ずつ買って淹れたての香りを楽しむほうが、結果的に満足度は高くなります。

まとめ|静岡の玉露・抹茶は、知るほど面白い

静岡茶の主役は煎茶ですが、その陰には日本三大玉露産地・朝比奈と、1988年から始まった静岡抹茶という、もうひとつの最高級ラインが息づいています。

室町時代から続く朝比奈の茶づくり、丸七製茶の挑戦、そして街中の名店たち。

どれもが、静岡を「日本一の茶どころ」たらしめている大切なピースです。

まずは一杯、ゆっくり時間をかけて玉露を淹れてみてください。

低温の急須からこぼれる、海苔に似た覆い香。最初のひと口の、とろりとした甘み。

静岡という土地が長い時間をかけて磨いてきた味わいが、湯呑みの中にぎゅっと閉じ込められています。

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