静岡茶の品種別ガイド|やぶきた・つゆひかり・ふじかおり完全比較

ランチ・グルメ

「同じ静岡茶」と書かれた缶を二つ並べて飲み比べると、味も香りも全く違う──そんな体験をしたことはありませんか?

実は静岡茶、中身は1種類ではありません。やぶきた・つゆひかり・ふじかおり。同じ静岡の土で育っているのに、香りも味も水色(みずいろ)もまるで違う、個性派揃いの世界です。

本記事では、静岡を代表する3品種と、川根・本山・ぐり茶といった産地別の個性、そして「飲み比べたい」と思ったときに頼れる静岡市内の専門店までを、まとめてご紹介します。

静岡茶の主役「やぶきた」 ── 国内シェア71.5%の日本代表

やぶきたは、1908年(明治41年)に静岡市の篤農家・杉山彦三郎氏が在来種の中から選び出した品種。

竹やぶの北側で見つかったことが、その名の由来とされています。

その実力は数字が物語ります。

  • 全国の茶栽培面積シェア:約71.5%(国内の茶畑の7割以上)
  • 静岡県内シェア:約90%(県内の茶畑のほぼ全て)
  • 1953年に静岡県の奨励品種に指定され全国へ拡大

なぜここまで広まったのか。理由はシンプルで、「全方位に強い」から。

さわやかで深みのある香り、旨味・甘味・渋味・苦味のバランス、鮮やかな水色。煎茶はもちろん、玉露・抹茶・釜炒り茶まであらゆる茶種に適応できる万能選手です。

静岡市葵区には、彦三郎氏が選抜した「やぶきた原樹」が今も保存されており、お茶のまち静岡市のシンボル的存在になっています。

やぶきた・つゆひかりが育つ静岡の茶畑
静岡茶の品種(イメージ)

甘旨派の隠れ名品「つゆひかり」 ── テアニン1.5倍の鮮緑

つゆひかりは、宇治在来種の「あさつゆ」と静岡系統「静7132」を掛け合わせた品種。2003年3月に品種登録(登録番号11103号)されました。

このお茶の魅力は、淹れた瞬間にわかります。

  • 水色:目が覚めるほど鮮やかな明るい緑
  • 味わい:テアニンがやぶきたの約1.5倍、タンニンは約2割少ない
  • 収穫時期:やぶきたより数日早い早生品種
  • 耐病性:炭そ病に極めて強く、農家にも優しい

渋みが少なく、甘味と旨味がしっかり──「ぬるめのお湯でじっくり淹れたい一杯」です。

普段コーヒー派で「苦いお茶は苦手」という方ほど、最初の一口で「えっ、これお茶なの?」と驚きます。

主産地は静岡県御前崎市。海風と陽光をたっぷり浴びた茶葉が、つゆひかり特有の鮮やかな水色を生み出しています。

花のような香りが立つ「ふじかおり」 ── 急須にジャスミンを閉じ込めた一杯

ふじかおり(藤かおり)は、やぶきたを母に、香り系の優良株「静印雑131」を父に持つ品種。静岡県育成の推奨品種で、香りの個性で勝負するタイプです。

特徴をひと言でいうなら、「ジャスミンの花を急須に閉じ込めたような香り」

アンスラニル酸メチル由来の花香(はなか)で、煎茶なのに紅茶やジャスミンティーのような印象を受けます。

  • 香り:ジャスミン様・東洋蘭のような華やかな花香
  • 味わい:甘い口当たり、爽やかな後味
  • 機能性:ケルセチン配糖体を多く含み健康面でも注目
  • 親株:父系「静印雑131」は香り品種「そうふう」も生んだ名血統

ふじかおりは浅蒸しで仕上げると香りが立ちやすく、ガラスのポットで淹れて、立ち上る香りごと楽しむのが王道。

「お茶=苦いもの」と思っている人ほど、最初の1杯で印象が変わるはずです。

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産地で変わる静岡茶 ── 本山茶・川根茶・ぐり茶を知る

品種が「茶葉のDNA」なら、産地は「育った環境」。同じやぶきたでも、土地が変われば味も香りも変わります。

本山茶(ほんやまちゃ) ── 静岡茶のルーツ、約800年の歴史

本山茶は、静岡市の安倍川・藁科川(わらしながわ)上流域で生産される山間地のお茶。

静岡県内で最も古く、約800年前に聖一国師が宋から茶の種を持ち帰り、足久保に蒔いたのが始まりとされます。

朝霧が立ちこめる山間部の寒暖差が、口当たりの良い旨味と爽やかな香りを育てます。徳川家康が愛飲し、駿府城下に茶蔵を建てさせたという逸話も残る由緒正しいお茶です。

川根茶(かわねちゃ) ── 大井川上流の黄金水色

川根茶大井川上流域(榛原郡川根本町・島田市川根町)の山間地で生産。歴史は約400年。

奥深い山と清流が育てた茶葉は、黄金色に近い澄んだ水色と、口に含んだ瞬間に広がる爽やかな香りが持ち味です。

程よい苦みと渋みのバランスが良く、和菓子との相性は抜群。大井川鐵道のSLが走る山あいの風景と一緒に、川根本町で産地買いするのも静岡ならではの楽しみ方です。

ぐり茶 ── 伊豆・伊東で愛される「蒸し製玉緑茶」

ぐり茶は、伊豆半島東部・伊東市を中心に生産される「蒸し製玉緑茶」

一般的な煎茶と違い、形を整える「精揉(せいじゅう)」工程がないのが最大の特徴。茶葉が勾玉のようにくるんと丸まることから「ぐりぐり」→「ぐり茶」と呼ばれるようになりました。

  • 製法:深蒸し+精揉なしで茶葉を傷めず仕上げる
  • 味わい:渋みが控えめでまろやか、優しい口当たり
  • 水色:深く濃い緑
  • 有効成分:細かい茶葉が出るため水に溶けない成分も摂れる

「お茶を渋いと感じる人ほどハマる」とも言われるぐり茶。観光で伊豆を訪れた方が、その飲みやすさに惚れ込んで定期購入するパターンが本当に多いお茶です。

飲み比べのコツ ── 3つのポイントで個性が見える

難しい知識はいりません。次の3つのポイントに注目するだけで、それぞれの個性がはっきり感じ取れます。

①水色(みずいろ)を見る

湯呑みに注いだお茶の色を、まず真上から見てみましょう。

やぶきたは黄緑寄りの澄んだ色、つゆひかりはひときわ鮮やかな緑、ふじかおりは透明感のある淡い緑。同じ静岡茶でも、品種でこんなに違うのかと驚くはずです。

②香りを嗅ぐ(蓋香→水色香→戻り香)

急須の蓋を開けた瞬間、湯呑みに注いだ後、飲み込んだ後に鼻に戻ってくる香り──3段階で香りを追うとふじかおりの花香が際立ちます。

やぶきたは王道のお茶香、つゆひかりはほのかに甘い香りが鼻に抜けます。

③お湯の温度を変えて2煎目を試す

1煎目は70℃前後で旨味、2煎目は80〜90℃で香りと渋みを引き出す。

温度を変えると同じ茶葉から驚くほど違う表情が出ます。特につゆひかりは低温で淹れると甘旨成分が際立ち、本領発揮します。

品種茶はどこで買える? ── 静岡市内のおすすめ専門店

「飲み比べセット」を探すなら、スーパーよりも専門店が圧倒的に有利。静岡市内には品種別・産地別のお茶が揃う名店がいくつもあります。

chagama(チャガマ)

1877年創業の製茶問屋「マルモ森商店」が2014年にオープンした日本茶専門店。JR静岡駅から徒歩約10分。

100種類以上のお茶を販売し、全てのお茶が試飲可能。スタッフが急須で淹れてくれます。やぶきた・つゆひかり・ふじかおりの飲み比べに最適です。

ニガクナイコウチャ

JR静岡駅直結のパルシェ1階、若手茶農家集団「グリーンエイト」運営の専門店。

品種と製法違いの紅茶9種類を中心に展開。リーフタイプとティーバッグの両方を扱っており、緑茶以外の「静岡茶の今」を知るならここ。

小島茶店

明治創業の日本茶専門店。安倍川・藁科川流域の本山茶をメインに、産地ごとに異なる茶葉の香りと味わいを生かしたブレンドを提供。

「静岡の原点」を味わいたい方はまずここから。

まとめ ── 静岡茶は「品種×産地」で無限に楽しめる

静岡茶はひとつの「ジャンル」ではなく、品種と産地の組み合わせでいくつもの個性を持つお茶の集合体です。

  • やぶきた:日本茶の王道。全国71.5%・静岡90%の万能選手
  • つゆひかり:テアニン1.5倍の甘旨派。御前崎が主産地の鮮緑
  • ふじかおり:ジャスミン様の花香。やぶきたの娘で香り系の代表格
  • 本山茶:800年の歴史を持つ静岡茶のルーツ
  • 川根茶:大井川上流の黄金水色
  • ぐり茶:伊豆・伊東のまろやか玉緑茶

次にお茶を買うときは、ラベルの「品種名」と「産地」をぜひチェックしてみてください。一杯のお茶が、何倍も楽しくなるはずです。

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